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僕が教授になったお話

 

先日、初めて大学で授業を教えることになりました。

それも、教育学の授業。

その名も、

Pedagogy in the post-truth era. 

この授業では、メディアやテクノロジーの発達によって「真実」がわからなくなった今の時代 (post-truth era) において教育法 (ペダゴジー) はどのようにあるべきかを考える授業です。

前のブログにも書いたように、10人ほどしかいないこの授業。ディスカッションをせざるおえない状況にいるので、宿題のリーディングは必ずやらなきゃいけない、本の内容を把握してなきゃいけない、そして自分の価値観も全部ひっくるめて授業で話さなきゃいけない、とても過酷な授業です。

僕にとっては過酷なんです!!全部英語だし、哲学要素盛りだくさんだし、授業で自分の意見をめちゃくちゃ言わされるし。

だけど!だけど!とても面白いんです!過酷だから面白いんです!

例えば今、The Amateur: 好きなことをやる幸せについて という本を読んでいて、アマチュアとプロフェッショナルの違いに対する筆者の考えやその哲学について毎日のように議論しています。

「アマチュア達の方が優れている、なぜなら固定概念がなく、「新しい」ものを日々作り続けて世界にある既存の価値観を覆すから」

「いやいや、プロフェッショナルがいるからビジネスとか政治が成り立ってるんでしょ。効率的に物事を考えるし、いまの世界にはそれが必要」

「でも両方あるから成り立ってるよね、世界って。進化し続けるけど、その進化し続けてる理由にプロフェッショナルの人もアマチュアの人も貢献してるからね」

などなど。ぜひ本を読んでみてください!

 

話を戻すと、教授にある日呼び出されて、「豊に俺の授業を教えて欲しい。その日俺はカンファレンスに参加しなきゃいけなくて、授業に参加できないけど、これ資料」

と言われてワークシート、当日のプランなどが書かれた紙を何枚かもらいました。

僕はワクワクしてて、サプライズでクラスメイトを驚かせてやろうと。教授が着るような服を着たり、教授の仕草や癖を真似て授業しようとワクワクが止まらなかったのです。

とてもリスペクトしている教授が僕に代打を任せるなんて、めっちゃおもろいやん!と思い、その日まで毎日「どうやったら授業を面白くできるかな、どうやったら教授みたいになれるかな」と必死に考えてました。

 

そしてとうとう今日、僕が1日教授になる日がやってきたのです。

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僕はワクワクドキドキしながらあえて誰にも言わずに、そーっと教室に入り、そーっと教授の席に座りました。

「は?何してんのお前ーー笑笑」

「嘘でしょ?笑 まさか今日豊が教えるの?」

「何しとんねん!」

などの声が教室の中を埋め尽くし、僕が事情を説明すると、

「なんだー教授来ないなら授業来なきゃよかったーー」

「ねえもう授業しなくていいよね??」

「朝早く起きた意味ないじゃん!帰ろうぜー」

みたいな。もう予想外でした。僕の前日までのイメトレでは、めちゃくちゃ応援してくれたり、腹抱えて笑ってくれたり、授業任されたのか!すげえ!などの声が上がってくると思いきや、生徒達のモチベーションはもはや0でした。

それもそのはず、しっかり授業のために本を80ページほど読み、ディスカッションの準備をして、この授業のために朝早く起きて、今日は何を話すんだろうーなどと準備万端で授業にいざ挑んだら僕がいるわけですよ。

僕の思ってた「理想の授業」とは程遠く、結構序盤で大ダメージを喰らいました。

 

それでも!いつもみたいに教授がやるディスカッションだったり、授業の進め方をして、なんとか持ちこたえました。

だけど辛かったです正直。

教授と同じように授業を進めたり、教授の要素を自分の「理想の授業」に詰め込むと、生徒達も無意識に教授の実際の授業と比べたりするのでそりゃまあ負けますわなプロフェッショナルには。生徒達にとってもいつもより物足りなかったり、「教授の圧力」というものがいつもと比べて無かったりするので終始モチベーションは低かったんだと思います。

 

今考えたら、アマチュアがプロフェッショナルの授業を教えたら、どうなるか?みたいな実験も含まれてた思うんです。(教授が意図的に僕を指名した理由はわからないですけど笑)

 

授業後、教育学を専攻していて、その授業にも参加してた2年生のフミカから慰められつつ、フィードバックをもらいました。

 

「あの授業を教授と同じように教えるのは不可能で、プロフェッショナルになりきる=教授と同じ教え方、授業の進め方からすべてが同じならもちろん生徒達にとっては面白くないよね」と言ってくれました。

マチュアらしく、アマチュアの想像力を生かしてプロフェッショナルに立ち向かっていったら良かったんじゃない?教授も他の生徒達も"大学の授業を教える"がアマチュアな豊だからこそできた授業を求めてたんじゃない?」

めちゃくちゃ正しい...いや間違いないでしょ。

 

生徒のモチベーションがいつもより低かった理由も、いつもみたいにうまく授業がスムーズに進まなかった理由も。全部プロフェッショナル (教授) の真似をしていたからかもしれないです。アマチュアはアマチュアらしく、ほかのアマチュア (生徒達)と一緒に授業を進めてたら、もっと面白くなってたかもしれないです。

 

とても当たり前のことを遠回りに言ってる気がしますが、普段気づかないようなことなんじゃないかなーと思ってます。

世界は、アマチュアとプロフェッショナルで溢れています。サッカーのプロ、絵描きのプロ、音楽のプロ、椅子づくりのプロ、教育のプロ。

プロフェッショナルはいっぱい居て、それで今の「当たり前」があると思うんですが、アマチュアもアマチュアで0 to 1をこよなく愛し、新しいものを作ることにパッションを抱いてるのです。

いつかアマチュアがもっと注目され、感謝され、賞賛されることが「当たり前」になってくるのではないでしょうか。

 

6月に日本に戻ります!2ヶ月半くらいステイします!

早く日本食が食べたいです!もしこれを読んでる先輩方がいたら、ご飯のお誘い待ってます。

僕と日本でご飯を食べれるとか、最高のプレゼントでしょ。

 

全てにおいてアマチュアな僕ですが、よろしくお願いします!

 

The Amateur: The Pleasures of Doing What You Love 

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